七夕のお片づけネタです。采配左近が好きなのですよ。
ずいぶん経っちゃって今さら感が漂いますが、
采配石田屋敷は、お飾りなどを長く飾っておく家だということで。
以下、ネタです。
終わりは、何だってわびしいものがあるな―――
左近はそう思いながら、七夕の笹飾りを片づけていた。そして、ややくたびれた感のある笹の中から、我が主の短冊を見つける。そこには、とある願い事が書かれていた。左近は思わず微笑む。
―――数日前
吉継は、三成の屋敷に来ていた。何をするわけでもなく、この屋敷の主である親友とともに縁側で空を仰ぐ。その傍らには七夕の笹飾りが設えてあった。時折吹く風が笹をやわらかく揺らす。
「短冊に何を書いたのだ?」
「うーん、ヒミツ」
「天下太平とか?」
「そんなことは願うことではなくて、皆が力を合わせればできることだ」
「そうだな」
目が見えれば、三成が書いた短冊の内容がわかるのだろうが…。
吉継は少し寂しさを覚える。しかし、この一本気でとことん馬鹿な親友が、自分を差し置いて、何かのため、誰かのために願をかけていることは容易に察しられたので、不意に降りた心の霜はすぐに溶けた。
やがて風が吹きはじめ、笹がさらさらと揺れ出す。吉継は笹の中に可憐な音が混じっていることに気がづいた。
「鈴をつけているのか?」
「きっと左近が吉継のためにつけたんだよ」
「憎い方だ」
「鈴の涼しい音…っぷ!」
親友の他愛のないダジャレに思わず苦笑する。しばらくの間、二人は風が奏でる笹と鈴の音色に聴き入っていた。
―――チリーン
左近は笹に付けていた鈴を鳴らした。そして、己の主の書いた短冊に手を添える。そこには、病を患っている吉継の快癒祈願が書かれていた。
「やはり、殿には敵わないな」
自分のことすらまともにできぬ身なのに、絶えず人を気にかけている。そこに利害や打算はない。こうと決めたら一直線に突き進む。しかし、左近はそんな主が好きだった。
「俺の目に狂いはない」
左近は口元に笑みを浮かべたまま、焚火に笹をくべるのであった。
<終>
短く描いたつもりだったんですけど、長くなってしもた!
ネタ自体ももっと尺があったんですけど、読みづらくなっちゃうので割愛。
こうやって文字にしとけば、いつか漫画で描くかもしれないし、
もしかしたら、誰かがちゃんとした作品に仕上げてくれるかもしれない。
日々の妄想は大事!なんかしらの形にするですよ。
というわけで、父ちゃんでした。
それにしても、左近という生き物は何故こうもよいのかわからぬ。
ずいぶん経っちゃって今さら感が漂いますが、
采配石田屋敷は、お飾りなどを長く飾っておく家だということで。
以下、ネタです。
終わりは、何だってわびしいものがあるな―――
左近はそう思いながら、七夕の笹飾りを片づけていた。そして、ややくたびれた感のある笹の中から、我が主の短冊を見つける。そこには、とある願い事が書かれていた。左近は思わず微笑む。
―――数日前
吉継は、三成の屋敷に来ていた。何をするわけでもなく、この屋敷の主である親友とともに縁側で空を仰ぐ。その傍らには七夕の笹飾りが設えてあった。時折吹く風が笹をやわらかく揺らす。
「短冊に何を書いたのだ?」
「うーん、ヒミツ」
「天下太平とか?」
「そんなことは願うことではなくて、皆が力を合わせればできることだ」
「そうだな」
目が見えれば、三成が書いた短冊の内容がわかるのだろうが…。
吉継は少し寂しさを覚える。しかし、この一本気でとことん馬鹿な親友が、自分を差し置いて、何かのため、誰かのために願をかけていることは容易に察しられたので、不意に降りた心の霜はすぐに溶けた。
やがて風が吹きはじめ、笹がさらさらと揺れ出す。吉継は笹の中に可憐な音が混じっていることに気がづいた。
「鈴をつけているのか?」
「きっと左近が吉継のためにつけたんだよ」
「憎い方だ」
「鈴の涼しい音…っぷ!」
親友の他愛のないダジャレに思わず苦笑する。しばらくの間、二人は風が奏でる笹と鈴の音色に聴き入っていた。
―――チリーン
左近は笹に付けていた鈴を鳴らした。そして、己の主の書いた短冊に手を添える。そこには、病を患っている吉継の快癒祈願が書かれていた。
「やはり、殿には敵わないな」
自分のことすらまともにできぬ身なのに、絶えず人を気にかけている。そこに利害や打算はない。こうと決めたら一直線に突き進む。しかし、左近はそんな主が好きだった。
「俺の目に狂いはない」
左近は口元に笑みを浮かべたまま、焚火に笹をくべるのであった。
<終>
短く描いたつもりだったんですけど、長くなってしもた!
ネタ自体ももっと尺があったんですけど、読みづらくなっちゃうので割愛。
こうやって文字にしとけば、いつか漫画で描くかもしれないし、
もしかしたら、誰かがちゃんとした作品に仕上げてくれるかもしれない。
日々の妄想は大事!なんかしらの形にするですよ。
というわけで、父ちゃんでした。
それにしても、左近という生き物は何故こうもよいのかわからぬ。
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